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1月のお薦め映画 

〇『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』(米)127分
 
 予告編を見るとサバイバル冒険映画のように思われるかもしれませんが、実際は、神や信仰をテーマにした大変哲学的で文学的な「文芸映画」です。
 題名の通り、「パイ」と呼ばれるカナダ在住インド人の数奇な半生を描いています。パイがカナダ人の作家に体験談を語るという形で物語が進行します。
 初めの40分くらいで、「パイ」という呼び名の由来や(円周率のパイです)、また彼は、ヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教を信仰しているのですが、そこにいたった経緯などが語られます。前置きが長いと感じられるかもしれませんが、後の伏線になる重要な部分です。
 パイの父親はインドで動物園を経営していましたが、家族でカナダに移住することになり、動物たちも一緒に日本の貨物船で出航します。しかしその船が大嵐で沈没してしまい、ひとり生き残ったパイはトラと漂流する事になります。
 そこからの漂流談は、とてもスリリングで面白いです。どうやってトラと共存できたのかは見てのお楽しみですが、ともかく圧倒的な映像美に驚かされます。そして飛んでくるトビウオや夜の大海原に光りながら出現する巨大鯨など、3Dの効果も抜群です。

 さて、(成人した本人が語っているのですから)当然無事に生還できたわけですが、これで終わっていれば、予告編通りのサバイバル冒険映画として、老若男女が楽しめる作品であったかもしれません。しかしこの映画はそんな単純な娯楽映画ではありません。とんでもいない結末に、観客は困惑し、釈然としない気持ちで映画館をあとにする事になります。
 それについて沢木耕太郎は、朝日新聞(1月25日夕刊)の映画評で「原作は小説である。それもあってか、この映画も最後は極めて文学的な終わり方をすることになる。この作品に対する好悪は、その終わり方を受け入れるかどうかにかかっているかもしれない。」と述べています。
詳しい事は言えませんが、ある事に関する解釈が観客にゆだねられます。そしてそれは、その人の人生観、宗教観に関わる事柄です…。

大変知的で繊細でそして高尚な娯楽映画だと思います。アカデミー賞11部門ノミネートは納得できます。誰にでもお薦めできる映画ではありませんが、興味のある方は是非ご覧になって下さい。そしてもしご覧になるならば絶対3Dがお薦めです。
(私の採点は92点)
                         上田 則夫(記)
                                H25.1.30 船橋三田会幹事 
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