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4月のお薦め映画 

〇『リンカーン』(米) 2時間30分

アメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーンは、1864年11月に再選され、翌年1月に、奴隷制度を完全に撤廃させるために憲法改正を成し遂げ、そして4月にフォード劇場で暗殺されるのですが、このリンカーン晩年の数か月を描いた作品です。
理想を実現するために不屈の信念を貫いたリンカーンという傑出した政治家の人間像を、妻との不仲や子供との確執など、その家庭人としての姿も含めて、ダニエル・デイ・ルイスが見事に演じています(アカデミー主演男優賞受賞)。

前半は少々わかりにくいです。
4年間にわたる南北戦争で、北部も南部も疲弊しきって、戦争終結が望まれていましたが、リンカーンは、戦争を終える前になんとしても憲法改正(合衆国憲法修正第13条)を議会で可決させようとしていました。何故なら、すでに出されていた奴隷解放宣言はほとんど効力がなく、ここで戦争が終わると、南部ではまた元の奴隷制度が戻ってしまうからです。
とはいえ、合衆国憲法修正第13条を議会で可決させるためには、共和党の票を取りまとめてもまだ20票足りません。この不足の20票をいかに獲得するかが、前半のドラマの焦点になります 。
議員たちの駆け引きや議会工作など、スピルバーグ映画としては珍しく会話劇で進行するのですが、細かいニュアンスは字幕ではよく理解できません。
また多くの議員が登場しますが、誰がどのような立場なのかわかりにくいですし、暗躍するロビイストという存在も不明です。だいたい私はアメリカ合衆国の議会制度の仕組みがわからないのですからどうしようもありません。油断していると睡魔に襲われます。

後半になって、議会での採決シーンから、ラストのリンカーン暗殺まで、映画はようやく動き出します(私にはそのように感じられました)。
スピルバーグ監督らしい映像のダイナミズムや詩情など、その映像表現はやはり傑出していますし、演出の円熟さも随所に感じられます。
アメリカ合衆国賛美が少々鼻につくところもありますが、見応えのある、そしてとても質の高い映画である事は間違いありません。重厚な大人の映画です。秀作だと思います。
ただ、この作品を「外国人」が理解するためには、南北戦争やアメリカの議会制度など、ある程度の予習はしておいた方が良いと思います。   (私の採点は83点)

※奴隷制度廃止の共和党も一枚岩ではなく、急進派がいて(缶コーヒーBOSSのCMでおなじみのトミー・リー・ジョーンズ)、かれらは「人間は平等」といい、一方リンカーンは「法の下での平等」をいいます。この違いの意味も私にはよくわかりませんでした。
                    上田 則夫(記)
                              H25.4.24 船橋三田会幹事
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