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4月のお薦め映画 

○『スポットライト 世紀のスクープ』 (米)  2時間8分

 ボストンのカトリック教会では、キリスト教聖職者による児童への性的虐待が頻繁に行われており、その事実は強大な教会権力によって隠蔽されていました。
新聞業界ではその事実に触れる事はタブーとされていましたが、そのタブーに挑んだのが地元新聞社「ボストン・グローブ紙」の「スポットライト」という調査報道専門チーム。彼らは、2002年1月にその実態を暴露する記事を発表して全米を震撼させました。
この映画は、「スポットライト」チームの4人の記者たちが、この世紀のスクープを発表するまでの奮闘を描いた作品です。
 ストーリーは実にシンプル。ドラマチックにするための創作や、感動を強いる過剰な情緒は一切排除して、ひたすら被害者や関係者を取材し、資料をあさる記者たちの地道な調査活動をストレートに描いています。実在の記者達への配慮もあると思いますが、大変抑制のきいた知的な作品です。そういう意味で少々インパクトには欠けるのですが、それでは退屈な映画かといえば、さもあらず。強大な権力と対峙しつつ、被害者のために奔走する記者たちの活動は次第に緊張感を増し、2時間をけっして飽きさせません。
巧みな作劇(アカデミー脚本賞受賞)と、演出、そして上手な俳優たち(アカデミー助演男優・女優賞候補)によって、とても上品上質なエンターテインメント作品になっています。   
カトリック教会の組織や権力構造、あるいは司法の手続きなど、日本人にはわかりにくい所も多々ありますが、ストーリーを追うのにそれほど支障はないと思います。
 ご承知の通り、この作品は、今年度のアカデミー作品賞を受賞しましたが、他の候補作と比較して少々地味なこの作品を、何故、米国人は作品賞に選出したのか、そのあたりも鑑賞ポイントのひとつかもしれません。
 秀作だと思います。お薦めです。      (私の採点は☆☆☆☆)

[昭和55年文学部卒 上田則夫]



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